再生医療相談室

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No.771 脳損傷が原因となる難治性てんかんについて

項 目

内 容

専門分野脳・神経・脊髄
質問タイトル脳損傷が原因となる難治性てんかんについて
質問内容

てんかんについて、発作発生時に脳波(電気信号)が乱れてる状況を検知する機器がある事は知ってます。確かに常時てんかんの症状が発生してる患者については、この方法で確認することもできるでしょう。(てんかんの診断/診断と治療/(公)日本てんかん協会

しかし、脳卒中や脳外傷の患者の場合、難治性だからなのか、検査時は問題ないのに、その後もてんかん発症する場合があります。

最近、幹細胞上清液を点鼻投与する事がてんかんにも効果があると言う記載があるHPが散見されますし、海外でてんかん治療に同様の治験が行われてるとの記載もありました。

しかし、仮に幹細胞上清液点鼻投与で、てんかん患部が治癒したとしても、脳波検査では、確実に治ってるかは不明ですので、てんかん発症を抑制する薬(イーケプラ等)の服用をいつ止めていいか不明です。

脳が安定してるてんかん発症無し状態で、脳波乱流の原因となる脳細胞を特定する機器を教えて下さい。

掲載日2022年09月07日
回 答

てんかんの治療で「脳波乱流の原因となる脳細胞を特定する機器を教えて下さい」とのご相談です。てんかんは、部分的または全体的に脳が過剰に興奮して、てんかん発作を起こす病気です。確かに興奮する実際の細胞または細胞群を特定できる機器があれば、治療はずっと楽になるのでしょうが、実際には、外科手術の対象となる脳の領域を特定する検査にとどまっているのが現状かと思います。てんかんの治療としては、CT・MRIといった脳の構造を見る検査に加えて、SPECT(脳の血流を見る検査)やPET(ブドウ糖の消費を見ます)で機能が抑制される領域として示唆されます。そのほかに、長時間ビデオ脳波記録を行なって、原因領域が特定されれば外科手術の適応になって、完治が見込める場合も出てきます。しかし、多くの場合にはこのような原因が特定できないことが多く、外部分は抗てんかん薬による治療になります。

抗てんかん薬を服用しているこのような場合で、てんかんの原因となる神経細胞を特定できないか、というのがこのご相談の趣旨かと思いますが、今のところ、残念ながらそのような方法は確立していないと思われます。