NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.370


専門分野: 皮膚・毛髪

Q: 瘢痕の治療法

 表皮細胞浮遊液移植(ReCell)によってすでに瘢痕化(成熟瘢痕)したものを修正することは可能でしょうか。
また、その他に成熟瘢痕の修正に有効な治療法はあるのでしょうか。

掲載日: 2009.4.6

A:

 「ReCell」はオーストラリアのAvita社が販売している自家表皮細胞浮遊液を作製するキットの名前です(英語ですが、詳細は以下のHPで見ることができます。http://www.clinicalcellculture.com/?id=5&ob=1。具体的な使用方法は、患者さん自身から少量採取した表皮を材料として、このキットを使って細胞を接着している成分を消化してバラバラににし、表皮細胞浮遊液として表皮の欠損部に蒔き、創部を密封します。こうすると、蒔いた細胞から表皮が再生しますから、何もしないで周囲から表皮が再生してくるのを待つよりも早期に治癒することになります。同様の方法はある程度の研究設備があれば可能なのですが、このキットを使えば特に設備が無くても比較的簡便にできるのが利点ですが、あまり大きな表皮欠損には使えません。これを瘢痕治療に応用する場合、瘢痕部の表皮を除去した上で、細胞浮遊液を散布して表皮をもう一度再生しなおさせることになります。ねらいとしては、浮遊液中に本来の表皮細胞であるケラチノサイトの他にメラニン色素を産生するメラノサイトも含まれるため、再生した表皮がより自然な色を持つことが期待できるということになります。ただし、この方法で再生できるのは表皮だけで、皮下組織の瘢痕による変形は突っ張りの治療には役立ちません。
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