NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.342


専門分野: 皮膚・毛髪

Q: 皮膚再生に有効な治療方法

 随分前に交通事故に遭いました。
その際、ふくらはぎの筋肉も切除し、その周りにある血管もとってしまった為、毛細血管もありません。
しかし、少し前にアキレス腱より少し上のところに、ちょっとした傷を作ってしまい、
そこからひどくなり、周りの肉が壊死してしまい、再度肉を切除する手術をしました。
医師からは「血管がないから再生する力は少ないけど、肉が盛りあって皮膚になるのを待つしかない。」と言って、処方されたゲーベンクリームやフィブラストスプレー等と、痛みをとるためにボルタレンを1日4〜5回、飲みながらの治療を3年近く続けています。
でも、肉はなかなか再生せず今でも生傷のまま、えぐれている状態です。
せめて、傷口が盛り上がってこなくても、皮膚と化してくれれば痛みを伴わなくてすむのですが…皮膚の蘇生に有効な治療はほかにありませんか?ご回答戴ければ幸いです。
藁をも掴む気持ちでいっぱいです。
宜しくお願いいたします。

掲載日: 2008.6.4

A:

 詳細な病状が分かりませんので、全て当てはまるかどうか分かりませんが、再生医療的な治療法で治せる可能性があるように思います。
まず病状について確認ですが、18年前に膝あたりから足先にかけて著しい外傷を負われ、その部位の大きな血管が失われたために下肢の血行障害が生じたようです。3年前にこの血行障害のある部分に外傷を負われ、治癒が遅延して、いわゆる難治性潰瘍の状態になっているように思われます(血行障害があると、ちょっとした傷でも非常に治りにくい場合があります)。
塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)製剤であるフィブラストスブレーは、褥瘡などの難治性皮膚損傷に対する大変有効な薬剤です。しかし、効果を発揮するためには病変部の周辺に一定の血流が確保されていることが前提となります。従って、今回のご相談の場合は、まず、病変部周辺の血流を再生させる必要があると思われます。このような場合の血管再生は、慢性の動脈閉塞や糖尿病に伴う血流障害と同様に、骨髄などの細胞やbFGF徐放製剤を用いた血管再生療法(各地の大学病院などを中心に高度医療として行われるようになっています)によって期待できると思われます。ただ、このような血管再生療法は、一般には閉塞性動脈硬化症やバージャー病が適応でご相談の場合とは異なること、また、血管を新生させるべき組織(普通は筋肉)が存在していることが前提となりますので、筋肉の欠損状況によっては、適応にならないかも知れません。
病変部の血行障害が改善されれば、フィブラストスプレーなどの効果が期待できますし、場合によっては皮膚の自家移植や人工真皮などの再生医療的な治療法も有効になるものと期待されます。
担当の医師や血管新生療法を行っている医療機関とよく相談していただき、最適な治療法が見つかることを祈念いたします。
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