NPO法人再生医療推進センター

「幹細胞投与で認知症改善か」

京都脂肪由来幹細胞治療センター主催報告会
(2020年12月18日/ホテルグランヴィア京都)

NHK NEWS WEB 京都 NEWS WEB
「幹細胞投与で認知症改善か」(12月18日12時53分より転記)

認知症の原因の多くを占めるアルツハイマー型認知症の患者に対し、本人の皮下脂肪から採取した幹細胞と呼ばれる細胞を培養して投与したところ、多くの患者で認知機能に改善が見られたとする研究結果を、京都府立医科大学の名誉教授などでつくるグループが発表しました。

これは、京都府立医科大学の元学長で、山岸久一名誉教授などのグループが、京都市で会見を開いて発表しました。

厚生労働省の研究班によりますと、国内の認知症の高齢者は推計で600万人余りで、この7割近くがアルツハイマー型とされています。山岸名誉教授らのグループは、厚生労働省の了承を受けて、去年11月からアルツハイマー型認知症の患者の皮下脂肪から採取した幹細胞を培養して、本人に投与する臨床研究を行ってきました。

幹細胞は、体内のさまざまな組織に変化できる性質があり、患者9人に、1か月おきに5回にわたって静脈に点滴で投与し、認知機能を測る検査のスコアで評価したところ、全員、スコアが改善し、比較的程度の軽い患者7人のうち5人は、正常な値近くまで回復したということです。

アルツハイマー型認知症には、「アミロイドベータ」と呼ばれるたんぱく質が脳内に沈着することが関係しているとされていますが、特殊な装置で分析すると、症状が正常値近くまで改善した患者ではアミロイドベータの量が減少していたということで、山岸名誉教授は、幹細胞からアミロイドベータを分解する酵素が生成され、認知機能の改善が進んだのではないかとしています。

研究グループでは、現在、パーキンソン病の患者3人に対しても同様の臨床研究を行っていて、いずれも症状の改善が見られていることから、これらの結果を今年度内にも国に報告するとともに論文としてまとめ、新たな治療法につなげたいとしています。