NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.586


専門分野:心臓・血管

先天性僧帽弁異形成における弁置換について

2ヶ月の娘が先天性の僧帽弁異形成で、僧帽弁狭窄兼逆流症と診断されています。程度は3〜4で、BNPは7000です。弁形成は難しいので、弁置換になる可能性もあると説明を受けています。しかし、機械弁はリスクを考えてもどうしても避けたく、生体弁も耐久性を考えると難しいと思っています。
最近、国立循環器病センターの中山泰秀先生が「自己細胞による心臓弁を体内で作り移植する」という方法を動物で成功され、臨床研究を目指されているという記事を読みました。この記事によると、動物実験で成功した弁は大動脈弁とのことでした。
この件について、分からないことがあるのでご教授いただければ幸いです。下に質問をまとめさせていただきます。
・上記のような方法(中山先生の自己細胞による弁形成)で僧帽弁の形成、移植は可能なのか?または、実験されているのか?不可能な場合、他の再生医療の技術で僧帽弁形成が可能となるものがあるのか?
・上記の方法で、臨床研究が行われる場合、どのようにすればその臨床研究に参加できるか?
・臨床研究に参加できない場合、商品化されるのはいつごろが目安なのか?
・中山先生の方法で作られた弁を用いるのは、機械弁を入れた後でも使用できるのか?
・中山先生の方法で作られた弁は何歳から使用可能なのか?
質問が多く申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。

掲載日: 2016.09.15

A:

ご相談の内容がかなり具体的ですので、中山先生に直接伺いました。  中山先生によれば、先生の方法で、僧帽弁を患者さんご自身の組織で作製して移植することはできるそうです。(詳しくは中山先生の研究内容を紹介するウエッブページをご参照ください。URLは http://www.ncvc.go.jp/about/excellence/07.html です。)
しかし、動物実験レベルでの実施段階ですので、臨床研究までは相当ハードルが高いとのことです。
中山先生は、技術的には現段階でも臨床応用できると考えておられますが、心臓弁という命に直結する部位への応用は倫理的にも、現段階では、非常に難しいとのことでした。
 心臓弁とは別に、現在透析用の血管で臨床実績がありますので、少しづつ広げて行きたいと考えておられます。
 心臓弁の置換については、「機械弁を入れた後での弁置換は難しいと思います。」とのことでした。なお、「動物実験では3kgの犬での弁置換を行っていますので、年齢の制限は特に無いと思います。」とのことです。
 中山先生から、「困っておられる患者さんを救ってあげたいとの思いはとても強く、何とか早く実用化できるように努力させていただきます。」とのお言葉を頂きました。先生の研究成果が心臓弁でも臨床応用される日が少しでも早く来ることを願っております。
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