NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.532


専門分野:脳・神経・脊髄

Q: 小児の脳梗塞への再生医療について

1歳5ヶ月になる息子が先月15日にファロー四徴症の根治手術を行い、予定以上の手術時間の長期化により、術後ECMOをつけることになりました。 術後3日目に突然、手足の痙攣した動作が起こり、バイタルも安定していたため、薬の影響ではないかということで特別な処置を施すことなく経過観察し、術後4日目にECMOを離脱しました。 その後、術後6日目に脳波の痙攣性の波が確認され、術後9日目のCT検査により多発性脳梗塞であることがわかりました。 その後、まずは心臓の回復を優先して治療を続けて、脳に対しては痙攣を抑える薬と脳の浮腫みとる薬等を投与し、心臓については順調に回復していきました。 術後17日目に再びCT検査を行い、新しい梗塞は起きておらず、浮腫みも取れてきていること、小脳での脳出血も僅かながらに確認できたが問題になるようなものではないことがわかりました。 術後28日目には人口呼吸器、点滴類も外せる状態になったため、ようやくMRI検査を受けました。 主な発生場所は、左右の小脳、橋の一部、線条体、淡蒼球、大脳の左右、頭頂葉の左右、大脳皮質、深部白質です。また、術後の17日目のCT検査では確認されませんでしたが、既に脳の委縮も始まっているようです。 現在の息子の状態としては、開眼しており、瞬きや眼球は動かせますが、追視はできません。音に反応しているようにも思えません(まだ聴覚の詳しい検査はできてません)。唾液を取るために口に管をいれて吸引する際や手足の間接の曲げ伸ばしに対して、痛がるような表情を見せたり、かすれていますが声を出して泣いたり、ときおり足をバタつかせたり、手やひじ、膝を曲げたりしますが、 声をかけても呼びかけに応じす、 意識が覚醒している状態ではなさそうです。 人口呼吸器も外していますが、意識が覚醒していない状態のため、鼻から胃に直接管を入れてミルクを飲ませています。尿や便は問題なさそうですが、術後18日目に誤嚥性の軽い肺炎を起こし、嚥下障害の可能性もあるため、今は経過観察の状態ですが、気管切開をすることも視野に入れなければいけない状態です。 今は、 どうにか意識を取り戻してもらいたい、意識が覚醒したら早くリハビリを始めて後遺症を少なくしてあげたいということを願っています。 そこで、脳梗塞の再生医療についても期待しており、治験も進められていますが 年齢制限が20歳以上であること、意識状態が良いこと、発症後20日以内に転院できる方等の制限があり、息子の現状では条件を満たせそうにありません。ちなみに脳梗塞の発症日は、ECMO装着中の術後3日目(投稿日5/13日から26日前)の可能性が高いそうです。 息子の現状で受けられる可能性のある再生医療はありますでしょうか? もし難しい場合でも、小児の脳梗塞の回復事例や治療法などの情報(特に意識覚醒について)が本やネットで調べても情報が少なく、少しでも情報をいただければ幸甚です。 長文になってしまいましたが何卒宜しくお願い申し上げます。

掲載日: 2014.6.14

A:

小児の脳梗塞については、十分な知見に基づいた治療法が確立している状況にはないようです。再生医療的なアプローチも、新生児の脳梗塞に対しては臍帯血等を用いた治療が試みられていることは把握していますが、小児での試みは未だ始まっていないようです。  一般論として、脳梗塞の原因を調べ、それに応じた投薬治療などによって再発・悪化を防止することと、麻痺や知覚機能などについて現在の状態を的確に把握して、適切なリハビリを早期に開始することが良いと思います。小児の脳は高い可塑性を有していることが期待されますので、それを最大限引き出すようなリハビリテーションが有効ではないかと考えます。担当の医師と良く相談されて、良い医療を受けて頂くことを切に希望致します
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