NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.493


専門分野: 幹細胞など基礎

Q: ES細胞による治療について

 別居の実父は75歳でパーキンソン病を患ってます。
正確には、パーキンソン症候群・多系統萎縮症と診断されました。

発病から約4年、通院、投薬治療を継続し実施してますが、
病状は徐々に悪化しており、ほぼ寝たきりに近い状態です。
主治医には、投薬以外の治療について打診をするも、
現状では、年齢等を考慮すると、投薬治療で最良との返答でした。

本人は、病気は治らないと決めつけ無気力になってしまってます。
近年読売新聞にて「ES細胞によるサルのパーキンソン病治療」の記事を見て、
本人に少しでも希望を与えるためにも、ES細胞による治療を是非一度試せればと思ってます。

1)ES細胞による治療が一般的に行われる目途は何時頃でしょうか?
2)ES細胞を一般的に行われる前に臨床実験で受ける方法はありますか?

HPに「質問投稿フォーム」を見つけ、
いきなりメールする無礼をお許しください。
お手隙の時に回答を頂けると、幸いです。

掲載日: 2012.7.5

A:

  本年2月の下旬に、京都大学の高橋淳准教授らのグループが、ヒトのES細胞から分化誘導したドパミン産生細胞もサルのパーキンソン病モデルに移植して一定の効果を確認した、という報道がありました。この成果は、ES細胞や患者さん自身に細胞で作ったiPS細胞を用いてパーキンソン病を治療する臨床応用に向けた大きな一歩だと思います。ただし、すぐにヒトに応用できるということではなく、細胞の質をさらに向上させ、腫瘍形成など有害事象の起こる危険性が十分に低いことを確認する必要があります。高橋先生の記者会見では、「3〜5年後に臨床研究を開始したい。」ということだったと思います。どのような方が臨床試験の対象になるかは、具体的な計画ができてこないと分かりませんが、最初は、ある程度重症の患者さんから始めることになるのではないかと思われます。この治療が一般的になるのは、そのような臨床研究の結果として有効性と安全性が十分に確認された後になりますから、もう少し先のことになります。担当の医師とよく相談されて、良い治療を続けてください。
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