NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.427


専門分野: 眼

Q: 近視の治療(矯正)について

 今後、再生医療の技術などを用いて近視を治療(矯正?)することは可能なのでしょうか。あるいは、可能性があるとすればどのような技術や応用が考えられますか? またそうしたことが可能になるまでどれくらいの時間が必要になるでしょうか。
私は強度近視に悩む者です。眼鏡などの既存の矯正器具で生活できてはいるのですが、いずれ生活が不自由になるほどに視力が低下するのではないか、と不安を抱えております。
近年レーシックによる感染症の問題がおこり、それ以外にも過矯正や合併症などのリスクが大きいなどの問題点があることがわかり、裸眼での生活をあきらめました。
素人考えの空想に過ぎませんが、角膜再生の技術を応用して、自身の眼・角膜と一体化する、手入れ不要のコンタクトレンズのようなものを作ることはできないか、などと考えてみたりしています。
レーシック手術の安全性が高まる(可逆性手術にできる)、というようなものでもかまいませんので、近視に関して再生医療の発展がもたらす恩恵とその可能性、必要な年月などについてお教えください。

掲載日: 2010.7.3

A:

 「近視に関して再生医療の発展がもたらす恩恵とその可能性、必要な年月などについてお教えください。」とのご相談です。
昨年の近視についてのご相談でもふれましたが、現在の先端的な治療法はレーシック手術や眼内レンズです。レーシック手術の安全性についてはそれぞれの立場で色々な見解があるものと理解しておりますが、100%合併症が起こらないことを保証できる手術はあり得ませんので、結局のところ、手術の効果と安全性とを勘案して適応を決めて頂くしか無いのだと思います。慶応大学眼科坪田教授のブログに、レーシック手術の成績を検討したメタアナリシス(すでに発表されている複数の関連論文の結果をまとめて解析する研究方法)の英語論文を日本語で要約したもの(http://www.tsubota.ne.jp/blog/lasik/Lasik_a.pdf)が掲載されていますが、これによると、レーシック手術の満足度は95.4%とあります。逆に言えば、4.6%の患者さんは満足しておられないということですから、この数字を多いと見るか、少ないと見るかで評価が分かれるということだと思います。ただ、治療する側としては、この数字で満足している訳にはいきませんので、不満足を限りなくゼロに近づける努力が必要なのは明らかです。
また、現在行われている角膜の再生医療は、角膜上皮を培養皿の上で作成して移植するもので、角膜全層を再生させるには至っていません。再生医療が発展して角膜全層の再生が可能になれば、近視の治療にも応用されるようになるかも知れません。ただし、それが何時の事かは、今後の状況、科学的な問題だけではなく、経済的・社会的にこのような研究をどの程度推進できるか、によって変わると思います。
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