NPO法人再生医療推進センター

再生医療相談室 回答ページ No.62


専門分野: 幹細胞など基礎

Q: 再生医療とクローニングについて

 24歳女性です。再生医療についてのトピック、読ませていただきました。ESCと再生医療について、興味を持っているので自分で色々と調べてみたのですが、あまりよく理解できない部分があります。ESCから、臓器を作り出すことにとても興味があるのですが、ESCの研究は医療にとってとても魅力的である反面、倫理的な問題で色々と反対されてますよね。ESCを作るためにクローン胚を破壊してしまう事が問題のようですね。この問題にあたって、色々な国がESCの研究に関して、全面的なクローン作成の禁止や、クローン胚の作成を禁止しているようです。そこで、疑問に思ったのですが、ESCを使用しない、成人幹細胞での臓器のクローニングというのは、認められるということでしょうか?
もうひとつ、クローニングとは同じ細胞を持つものを作ることですよね?この場合、皮膚培養などもクローニングに含まれるのでしょうか?「培養」と「クローニング」は同じ意味ととってよいのでしょうか?
早く、rejectionのなどない、臓器ができればよいなと思います。
基本的なことかもしれませんが、教えていただけるとうれしいです。よろしくおねがいします。

掲載日: 2006.8.30

A:

 ES細胞はほとんどすべての種類の細胞に分化できるのに対し、成人幹細胞(組織幹細胞)はその組織を構成する複数の細胞種を作り出す能力はありますが、その分化能は限定されています。なかには同じ臓器でもさらに限定された分化能しかもたない場合もあります。ただし、最近の研究では、全く別の組織の細胞へと変化することのできる潜在能力を持っていることも示唆されています。また、組織幹細胞は比較的増殖能力が大きな細胞ですが、実際には増殖速度を遅くして長期間培養を可能にしている場合も多く、組織幹細胞を培養して大規模な増殖を行わせるのは容易ではないと考えられています。したがって、総合技術会議生命倫理専門調査会の(内閣府)ホームページに資料(下記アドレスから自由に閲覧可能です)
http://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/life/haihu27/haihu-si27.html
にもES細胞以上に未知の要素が多く、現時点では、更なる研究が必要な段階である、と記されています。
クローニングとは、一般に「核遺伝子が同一である個体(の集合)を作ること」と呼ばれています。したがって、細胞を育てる「培養」とは異なります。培養皮膚はすでに商業化されていますが、これは個体を作るのではなく、皮膚というある器官を作るためクローニングには含まれないと考えるのが自然と思います。
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