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「再生医療」を分かり易い言葉で
解説するコーナーです。
テーマを決めて随時更新予定です。
ご意見・ご感想お待ちしています。
第1回【細胞移植】(02.10.00更新)
第2回【実用化の現況と将来展望】(06.03.31更新)
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再生医療とは、体の一部が死滅(壊死)してしまったり、外傷で失われてしまったり、またガンで正常な臓器や組織の働きが損なわれたりした際に、細胞を利用してその失われた機能を取り戻すこと(『再生』)をはかる医療のことです。これまでは身体の一部あるいはその機能が失われた場合、臓器移植や人工臓器が主な治療法でした。しかし、臓器移植ではドナーの数が決定的に不足しているため、必要としているすべての患者さんに臓器移植を行えません。また、人工臓器も完全に元の機能を発揮できる(生体の精巧な機能を完全に再現できる)ものは開発されていません。再生医療は自分自身の細胞や他人の細胞、あるいは他の動物の細胞に対し、細胞の外から何らかの工夫を加えてその細胞の持っている能力を身体の中で発揮させ、機能を回復させる治療法です。 現在、ほぼすべての組織・臓器の再生が臨床応用を目指して研究されています。しかし、実際にわれわれの目に見えるものとしては皮膚、軟骨、血管、などに限られています。その他の研究対象の組織・臓器については、(1)細胞を体の外に取り出して必要としている機能を持つ細胞に選りすぐって生育・変化させ(「分化誘導」と呼ばれます)、これを体の中に埋め込むという手法や、(2)元からある体の中の細胞に対して、体の外から分化誘導因子、細胞増殖因子(細胞の機能を十分に発揮させるために必要な細胞数に増やす物質)を再生しようとする組織・臓器に注入して、体の中で必要としている細胞を増やす手法が主体です。 (1)は細胞移植と呼ばれ、臓器移植とは区別して考える必要があります。ここでは現在までにおこなわれた代表的な細胞移植の例をあげてみましょう。 パーキンソン病という病気があります。ドパミンという脳の伝達物質によって作動する神経細胞が変性してしまうことによって、ふるえ、硬直、歩行障害などの症状を呈します。症状が軽いうちは薬は効きますが、重症になると効かなくなります。この重症例に対して、中絶によって得られたヒトの胎児から神経細胞を選り分けて(この操作は「分離」と呼ばれます)、患者さんに移植するという方法が約10年くらい前からおこなわれています。しかし、倫理的な問題や患者さん1人の移植に対しおおよそ8体の胎児組織が必要となるため、広く普及することはありませんでした。
今回、パーキンソン病と1型糖尿病の2つに対する細胞移植をあげましたが、細胞を利用するという点では、広い意味での再生医療に含まれるかも知れません。しかし、これらの治療に用いる細胞はヒトの中絶胎児や脳死患者さんから提供された細胞で、病気で苦しんでいる多くの患者さんすべてに恩恵を与えることができないのは、臓器移植の場合と同じです。 現在の再生医学の研究は、完全な臓器をつくることより、失われた機能を取り戻す手段としての細胞移植に用いる細胞を、再生医学的手法を駆使してつくることに主眼がおかれています。つまり、パーキンソン病治療における神経細胞、1型糖尿病治療におけるベータ細胞を中絶胎児や脳死患者さんに求めるのではなく、新しい方法で細胞移植に必要な細胞を大量につくるための研究が進められてきているのです。今回ご説明しなかった心筋梗塞や肝不全の治療における心筋細胞、肝細胞などもその代表的な細胞です。これら各々については別の機会にご説明します。これらの研究が進めば、臓器移植の場合と異なり、多くの患者さんに恩恵を与えることができますし、近い将来きっと実現するでしょう。 今回は、「細胞移植」という言葉をご理解していただけましたでしょうか。 次回は、分化誘導因子、細胞増殖因子がどのように使われているか、についてご説明する予定です。
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